「インクルーシブ教育とは」シリーズ、第3回です。
今回は「障害者基本法」についてです。
2011年8月5日「改正障害者基本法」が公布・施行されました。
1.公布までの流れ
2009年 「障害者の権利に関する条約」の締結に「まった」がかかった。
2009年12月「障害者制度改革推進本部」を設置。
2010年1月「障害者制度改革推進会議」が開かれる。
2010年6月「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」が出される。
・「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」(概要)
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/pdf/iken1-gaiyo.pdf
条約でも大切にされた 「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」という考えは障害者基本法の改正でも大切にされている。
「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」をわかりやすくまとめた<わかりやすい版>も出された。その旨は「障がい者制度改革推進会議(第14回)」で話されている。
2010年11月「法律や制度をより良いものにする方向性<わかりやすい版>」が出される。
2010年12月「障害者制度改革のための第二次意見」が出される。
・「障害者制度改革のための第二次意見」(概要)http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/pdf/iken2-gaiyo.pdf
2011年2月「法律や制度をより良いものにするための第二次意見<わかりやすい版>」が出される。
話し合いが繰り返され法整備が進んでいきました。
2011年8月「障害者基本法(改正)」が公布・施行となりました。
こちらも、<わかりやすい版>が出されています。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/s45-84.html
・障害者基本法の一部を改正する法律【概要】
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/pdf/gaiyo.pdf
・改正障害者基本法<わかりやすい版>
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kaikaku/pamphlet/kihonhou/index_pdf.html
2.内容について
抜粋して書きます。
1.(目的)
第一条
この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
「改正障害者基本法より」
2.(定義)
第二条この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。一 障害者身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。二 社会的障壁障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。「改正障害者基本法より」
3.(地域社会における共生等)
第三条
第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。
4.(差別の禁止)
第四条
何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
2
社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。
3
国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。
「改正障害者基本法より」
5.(教育)
第十六条国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。2国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない。3国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによつて、その相互理解を促進しなければならない。4国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならない。「改正障害者基本法より」
「インクルーシブ教育」に関するところを太字にしてみました。
第十六条(教育)に関しては、太字だらけになってしまいました。
はっきりと「障害のある者もない者も共に学び」ということが示されていますね。
「サマランカ声明」や「障害者の権利に関する条約」をふまえたものになっていることが分かります。
「サマランカ声明」と「障害者の権利に関する条約」については以下もご覧ください。