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それでも幸せな人はいるから

特別支援学級の担任をしていて感じたこと。幸せな子ども時代を過ごす子どもが一人でも多く増えるように

集団づくりに必要な視点(信頼関係を構築するロジック)「個を大切にする心理の視点」#4

ここでは、集団づくりに向けた信頼関係を構築する「心理」の視点について書きます。
「心理」の視点を大切にすることは、個を引き立たせるために必要だと思います。
「心理」の視点を意識して見つめると、集団の中でどんな心理が働いて、つまずいているか見えてくるからです。

 1.存在感

私は「人の最大の価値は"今"そこに在るという事実に集約される」と考えています。今、あなたがそこに存在することを「ありなんだよ」という眼差しは、どの子どもも安心に導くと思います。
存在感
身近な大人によって、ありのままを認められている子どもにとっての確信である。それを得ることで自分からの自立的行為が生まれてくる。しかし、養育者がほかのきょうだいのみ関心を向けたり、養育者の子どもへの消極的、否定的な対応の継続は、その子どもの存在感を希薄化させることになる
また存在感は抗体要素があるのではなく、転居や新学期を迎えるときなど存在感が脅かされるので、新たにそれを確認する必要がある。
学級のどの子どもにも抱いてほしい心理ですね。
子どもから自分から動けないなと感じたとき、その子どもはその場に「存在感」を感じていないのかもしれません。
「いや、どうどうと発言するときもあるし、大声で友達と遊んでいる。けれど、どうも腰が重い」と思うこともあるかもしれません。
こうしたときに気にしたいのは、「本当のその子」が存在しているかです。それに気づいて、少しでも表出させるだけで、子どもは自分の「ありのまま」に気づいてもらえた、存在を認めてもらえたと、生き生きすることがあります。
 
※「自己存在感」という言葉もありますね。存在感といったとき、基本的には「自己存在感」を指すと考えられます。
「自己存在感」は生徒指導において、「自己指導能力」を育むために重要な要素であると言われています。
「自己指導能力」を育むためには、
・児童生徒に自己存在感を与えること
・共感的な人間関係を育成すること
・自己決定の場を与え自己の可能性の開発を援助すること
の三つが挙げられています。この三つは、生徒指導の三機能とも言われます。

 2.有能感

有能感
子どものみずからの意志でやり始め、そして自分の意志でやり終える経験を通して「自分にはできる」というものが育つ。おとなが指示してそのとおりにやり終えて、おとなからほめられることから、多少の有能感は芽生えるだろうが、ほめることを通して子どもにやらせようとすることが重なると、子どものほうは見透かしておとなにほめられるための行為しかしなかったり、おとなに合わせる行為でしかなく、みずから動くことに消極的になる。
これは、内的な「できる感」だと捉えられます。誰かに「できたね」と言われるのではなくて、「自分で自分が自分を『できる』」と思うかです。
そのため、教師が「できたね」と評価することでは育まれにくいものなようです。
 
私は、「今の感想は?」とか「正直に今の気持ちを?」とか「先生にはすごく良かったように見えるけれど、自分でもそう思った?」など自身を言葉で表現させ自己の再定義化を意識して働きかけることがあります。
聞いたあとに、大いに称賛するのも大切にしています。自分ができるってことは、周りの人も嬉しいことなんだってつながりが大切だと思うからです。
 
学級の中で嫌なことや、悲しいことがあっても「有用感」があれば、その場に存在できると思います。苦境なシーンも「自分は『できる』。だから乗り越えて見せる」と思えるのではないでしょうか。
 
※ちなみに、
有用→役に立つ
有能→才能のあること
全能→どんなことでもできること
です。

 3.能動性 

人から言われてするのではなく、他者の期待にそうのでもなく、みずからの意向で動くことである。子どもは小さいから教えないとわからないといって一方的に教えこんだりする中では、子どもの能動性は発揮できない。能動性を認めるところから次の行動が生まれてくる

しかし、子どもは幼いがゆえに思いどおりにならない自分や周りのようすに、受動的にならざるを得ない場合もある。その時におとながいっしょに楽しむことができるようになると、能動的な行為に変化していく。
自分から動き出しているところを見守るということが大切だと思います。そして、何手か動くまでは、じっと待ちます。
そして、また、能動性が発揮されているときには、ほめましょう。認めるところから次の行動が生まれるとあります。そのときに気をつけたいのは、私たちは「○○ができたね」という内容や行為ができたことをほめることも多いですが、そうではなく行為が「どのような思い」でなされたか捉えられたらと思うのです。
 
「自分で自分からが、素晴らしい!」、「やる順番を考えると、落ち着いてできたね!」、「最後までできるっていうのが、君の力だね!」など、頑張ったことに焦点を当てるということです。内面の力を評価するという視点に近いです。
 
「有用感」と「能動性」から、「自分は、自分から行動できる」という思いが強まると、自信をもち、集団でも「存在感」を表出することができるようになってくると思います。
「"その子"の内面」からの育ち、「"その子"なり」の育ちを全力で応援しましょう。
 
◎集団の中で誰のどれもいらない良さなんてありません。どの子の良さも認めながら、つまずきも認めながら、適切で適当なかかわりで、一人ひとりを支え見守れたらいいなと思います。
その子のもつ力を信じて、どの子の「存在感」も「有用感」も「能動性」も生かされ、大切にされる究極の集団を目指して、働きかけ続けることができたらと思います。
 
次回は……「相手との間に生まれる心理の視点」です。