どの子どももそうですが、「暗黙の了解」に気づいて応じられる子どももいれば、言葉になって知ることで応じられる子もいます。
知って納得すれば、その場に相応しい行動ができることも多いです。
入りやすい指示の「具体的」には、「暗黙の了解」の言葉化も含まれるように思います。
これまで、使ってきたいくつかを紹介します。
①「怒ってもいいから、怒り方を変えよう」
子どもと接する中で、怒った時に暴力を振るったり、物に強く当たる子に対して、「怒らないで」とか「怒りません」という言葉かけをしたことをある人は、少なくないと思います。
私も一時つい言ってしまうことがありました。
けれど「怒らないで」という感情を否定することは、人権を侵害しかねません。
「セカンドステップ」の研修でそういった話を聞いてハッとしました。
そのとき紹介された、パット・パルマーの「怒ろう」という本を見てさらに強くそう思いました。
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「怒ってもいい、怒り方を変える」と板書して教えて(冷静な時に)、その後、怒った時の暴力がすごく減った子がいます。
②「相手に嫌なことをしなくても人生は楽しい」
意地悪が止まらない子がいました。
相手が嫌がることを言ったり、相手のちょっとしたミスを執拗に責めたりする子でした。
それで得られる快の刺激が学習されていて、意地悪が日常の一部と化していたと思います。
一人遊びが上手なのですが、人と関わるのが上手ではなく、相手が嫌がる関わり方のパターンが定着してしまったのだと思います。
私はその子が相手が嫌がる関わり方も「あり」と思っているのが気になって、「相手が嫌がることをしなくても人生は楽しい」と板書して伝えました。
その子は「確かにそうかもな」と思った感じで意地悪な言葉でかかわるのではなく、普通に話しかける姿が増えました。
③「全体に話しているときは"自分に"と思って聞く」
全体の指示が聞けない子がいます。
なんとなく近くの子と話し続けてしまうのです。
全体の指示よりそっちの方が刺激が強いからでしょうね。
そのため、自分事として聞くスイッチが入れられないのだろうなと思い、スイッチする言葉はないかな、と考えました。
それで「全体に話しているときには"自分に"と思って聞く」と板書しました。
そこから、ピタッと話が止みました。
これ知っとくといいよと伝え、しばらく黒板に残して伝えようと思います。
こちらが暗黙の了解を上手く伝える術に気づくまでは、不毛な口頭での指示を続けがちです。
そうして繰り返し指導するしかないものもありますが、「暗黙の了解」を言葉化して、「視覚的」に伝えることで、行動が変わることも少なくないです。
知って納得することで子どもは行動を変えることができる、と私は思っています。
そのために、どんな情報をどういう言葉でどういう形で伝えるかの選択が重要だと感じています。
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