〈触覚〉について
【感覚過敏】には、「視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚」とそれぞれあるのですが、そのうちの〈触覚〉について。
ちなみに、【感覚過敏】の反対は【感覚鈍麻】です。
両方合わせて、「感覚のつまずき」と言うこともできます。
以下は、前に『川上康則』先生の話を聞いたときのものからの紹介です。
二種類の〈触覚〉
〈触覚〉には、
- 「一般的な〈五感の一つ〉の触覚」
- 「原子的な触覚」
の2つがあると教わりました。
そして、〈触覚〉の【感覚過敏】で(2)「原始的な触覚」が働きすぎると、問題行動として反応が起こることがあるそうです。
どういうことかというと「原始的な触覚」は「身を守る触覚」なのです。
「身を守る触覚」
「身を守る触覚」は、普段は使わないために「一般的な触覚」がカバーしています。
しかし「感覚につまずき」がある人の場合、「一般的な触覚」で感じる前に「原始的な触覚」が反応してしまうといった感じでしょうか。
「身を守る触覚」の反応は4つに分かれます。
- 身構える
- 逃げる
- 攻撃する
- 取り込む
以上の四つのどれかで、〈触覚〉から起こった不安や危険を自分なりに回避するということです。
具体がないと分かりづらいですが〈問題行動〉と感じたものがどれかにつながれば、それは【感覚過敏】によるものと考えることができます。
秀逸なのは、「4.取り込む」です。
これは、「爪かみ」や「服の袖をなめる」、「自分からはベタベタと誰かにまとわりつく」などが含まれます。
(参考:第三の情緒論・・・感覚過敏(感覚防衛) - 教育つれづれ日誌 | 学びの場.com)
対応の仕方
3つ示します。
〈防衛的な反応が出やすい部位〉と〈触れ方〉
〈防衛的な反応が出やすい部位〉は「膝ばいになって、雨に濡れない部分」だそうです。
つまり、主に身体の前側は、出やすいのです。
〈触れ方〉として、
- 面の大きさは、広く
- 強さは、強めに
- 時間は、長く
がよいそうです。
〈お試し行動〉
取り込みに対しては、負の行動を強化しないように注意が必要です。
検索したら、『川上先生』が書いているものがあったのでご紹介します。
多くの場合,これは大事な人との関係を育てるための行動であり,このやり取りを通して信頼感が芽生えます。
「今の行動はいいんだよね」とか「今のは,ちょっとやりすぎだったよね」と大人の反応を見ながら行動の善し悪しを確認しているのです。
そのため,無視したり,邪険に扱ったりせず,大人として振る舞うようにするのが大切とされています。
「大人として振る舞う」というのは,お試し行動にいちいち動揺したり,表情に焦りや困惑の気持ちを出したりしない,ということです。
慌てず,騒がず,冷静に対処する……
これが大人としての振る舞いです。
堂々としている大人,毅然と振る舞える大人には,子どもはめったにお試し行動は示しません。(出典:
通常学級での特別支援教育 第2回 | みつむら web magazine | 光村図書出版
)
これは、これ以上の説明はありません。
「お試し行動」で検索すると、もう少し記事にも出会えます。
〈ボディイメージ〉を育む
身体のイメージが豊かでないために、予期せぬ接触からトラブルが起こることもあります。
ボディイメージは、「自分の体の実感」を得ることで発達が促されます。
ボディイメージを見つめる視点は5つです。
- 自分の体の、「輪郭」が分かる。
- 自分の体の、「サイズ」がわかる。
- 自分の体の、「傾き」がわかる。
- 自分の体の、「力の入れ加減・抜き加減」がわかる。
- 自分の体の、「伸ばし加減・曲げ加減」がわかる。
そして「自分の体の実感」は、「前庭(平行)感覚」「固有感覚」「触覚」の3つの初期感覚を統合することで得られます。
(「感覚統合」の運動については、また別項で……。)