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おしゃべりによる出現する未来から学ぶ

「エピソード記述」とは?

エピソードって言われると、スターウォーズ級な感じ!?とたじろぐ「ハピペン」です。先日、「リフレクション」と「コア・クオリティ」 ってエントリーを書きました。

今日は、この本の話。

エピソード記述入門―実践と質的研究のために

おさらい

リフレクション=内省

コア・クオリティ=核となる性質(価値観)

自分についてのメタ認知を深めたい私は、これらの言葉が気になった。

私は、軸を見つけたい。

自分の中には十分にある感じがするのだけれど、説明する言葉が上手く出てこない。やっぱりメタ認知が必要な気がする。物事や出来事の「意味」を探っていきたい。

白いネコは何をくれた?

この本にも、小さい頃からの「行動の動機」には一貫したものがある。と書かれていた。

ALACTモデル 

①Action (行為)←有益な経験を見い出す支援
② Looking back (行為の振り返り)← 受容、共感、誠実、具体性
③ Awareness of essential aspects (本質的な諸相への気付き)←受容、共感、誠実、具体性、対立の概括、「今ここ」の利用、物事を明確にする支援
④ Creating alternative methods of action (行為の選択肢の拡大)←これまでのスキルの全て+解決策を発見、選択する支援
⑤ Trial (試み)←学習プロセスを継続する支援
参考:教師の経験学習モデル (ALACT) | *ListFreak

(原文)http://files.eric.ed.gov/fulltext/ED266102.pdf

上のリストは、実習生がALACTモデルを使うときのものだそうです。
“←”で書かれているのは、実習生を教えるために必要な“教師の支援スキル”だそうです。これは自身に対しても使えそうですね。
(「今ここ」の利用の意味が分からなかったのですが、「今ここ」で使えそうなものを使えってことでしょうね。周囲との対話だったり、今ここで浮かぶ思いを生かすなど。)

②と③のコツが、恐らくだが前にも書かせてもらったこれ。 

「エピソード記述」のやり方

1.たくさんのエピソードをあげる
2.No.1エピソードを決める
3.2を説明できる範囲の背景を説明
4.論理的な解析によって振り返る、価値を探る

痛烈な学び!上條先生とお話ししました。 - 学びとつながりをデザインしたい!より(現在は削除されている)

そうして、小文字のtheory(自分の経験値)を大文字のTheory(学術的知識)に結び付ける

やっぱり、メタ認知を深めるために「リフレクション」は有効なのだろう。

「リフレクション」の具体としての「ALACTモデル」そして、その中にある「エピソード記述」が鍵。

ここまではいい。で、エピソード記述ってなんだよ!な私。

エピソード記述

検索するほどわけが分からなくなりそうなのを堪えて、目についた「鯨岡峻」さん。

エピソード記述入門―実践と質的研究のために この本に頼ることにした。

いくらか面白い。発見もある。

エピソード記述に何を書くか

エピソード記述は、「人が人について『分かる』『分からない』という部分」「人と人のあいだに生まれる『生き生き感』『息遣い』」などの「存在のありようを告げる」。

これらは、行動科学(客観主義、実証主義)の枠組みでは捉えられない。

エピソード記述のイメージ。

相手はどのように思ってその場をいきていたのか、自分はそこで相手の思いをどのように摑んだのか、またどのような思いで関わっていたのか(後略)

P6

記録っていうのは、無味乾燥客観的なものなのだなあ、と学校に入って思った。たとえば、そうやって一般化できるものでないと、研究として価値がないみたいのがあるのかな、と。

けれど、エピソード記述は違う。心とか、思いとか、目に見えないところ。子どもが生きているところを語れる。これをエビデンスと言えるところまで昇華できる能力が身に付いたら、仕事が楽しそうだなあ……。

エピソード記述を行う価値

エピソード記述は体験の「意味」へと向かい、新たな問いを立ち上げ、他者と「意味」を共有することへと向かう

P11

エピソードから見出した意味・本質・メタ認知が、新たな問いにつながり、他者と「意味」を共有することへと向かう。リフレクションの共有と同義だろうと思う。

エピソード記述のコツ

エピソードは何らかの感動や違和感など、自分の心が揺さぶられたときに生まれることが多い

P34

これが、「2.NO.1エピソードを決める」っていう作業のコツになるでしょうね。

まずエピソードがあって、それからメタ観察があるというより、メタ観察がすでに可能だからこそ、それがエピソードとして浮かび上がったとさえいえる(後略)

それがエピソードとして取り上げられた「理由」が大切であると書かれています。

ただ、取り上げた、頭に浮かんだ、心に残ったからには、「そこになんかある」ってこと。これが、結構自分を探る勇気にもなって楽しい。*1

エピソード が満たすべき条件

「描かれたエピソードが満たすべき条件」も示されています。

オーソドックスなやり方は

「①背景②エピソード③メタ観察の提示」

とのことです。

肝は、あくまで目的は「その事態がそのように動いていった意味を探ること」だと書かれています。ALACTモデルの「④新しいやり方の考案」につながる部分だと思います。

 エピソード記述が読み手に伝わるには?

これも面白い。

読み手を説得するのは事象の「重み」である

P161

エピソードをエビデンスとして誰かを説得しようっていうのなら、要は、エピソードによって、書き手と同じように読み手の心も動くかが鍵ってわけだ。(えっ、もう小説家じゃん!?って思う)

 その他

「エピソードが描けないという悩みの出所」という項もあって、私は「関与することで精一杯である」が当てはまるなあ、と思った。そう、それで精一杯だったわ。

そういう、エピソードこそ「重み」があって誰かにとって「有用」なのかもしれないけれど。

 まとめ

つまり、いくつかのエピソードを浮かべ、エピソード記述(まあ、要は、出来事の意味化)を行うことで、エピソードにある「コア・クオリティ」の共通項を探ることで、己の強みを生かした省察が可能になるってことだろう。

自分の心が動くエピソードというのが、子どもたちにとっても価値が高い経験になる、と考えられるとき、そのエピソードの再現性は、価値が大きくなる。

そうして、自分の強みを生かした、また自分の心が動くような、似たエピソードが起こるには、どのような背景が必要なのかをまた探るということだろう。

「コア・クオリティ」が見つかったなら、その核を生かして、自分も子どもたちも心が動く体験をさせる条件が少しずつ見えてくるのかもしれない。

 

やっぱり、これは、面白いわ。

 

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*1:自分には何もないなんて思っちゃうときもあるじゃない?