発作的に本を買いたい衝動に負けてしまう「ハピペン」です。
急にAmazonの今週のランキングが「君たちはどう生きるか」で埋め尽くされていて、本屋もエスカレーター上がった目の前に「君たちはどう生きるか」が並んでいて。
「なぜ急に?!」と思っていたら、こういうことだったのですね。
まだ1位だ。
というわけで、「漫画版」を勢いで買ってしまった。
原作は1937年のものだというから驚き。
親戚のおじさん(元編集者)が、少年(中学生)に向けて書いたノートを見る物語。
何が書かれているかというと、コペルニクスだったり、ナポレオンだったり、人間とはだったり。人間として生きるってことについていろいろ書かれている。
少年のお父さんはなくなっている。周囲には、家業で学校に通えない子などもいる。
不条理が見える化されていて、人が身近にいるけれど生きる世界が分け隔てられていることが目視できた時代。
心に残ったところを抜粋。
たいがいの人が、手前勝手な考えにおちいって、ものの真相がわからなくなり、自分に都合のよいことだけを見てゆこうとするものなんだ。
注:原作は1937年
英語や、幾何や、代数なら、僕でも君に教えることができる。しかし、人間が集まってこの世の中を作り、その中で一人一人が、それぞれの自分の一生をしょって生きてゆくということにどれだけの意味があるのか、どれだけの値打ちがあるのか、ということになると、僕はもう君に教えることができない。
注:原作は1937年(しつこい)
人間としてこの世に生きているということがどれだけ意味のあることなのか、それは、君が人間らしく生きてみて、その間にしっくりと胸に感じとらなければならないことで、はたからは、どんな偉い人をつれてきたって、とても教えこめるものじゃあない。
(中略)
だから、こういうことについてまず肝心なことは、いつでも自分が本当に感じたことや、真実心を動かされたことから出発して、その意味を考えてゆくことだと思う。君が何かしみじみと感じたり、心の底から思ったりしたことを、少しもゴマ化してはいけない。そうして、どういう場合に、どういう事について、どんな感じを受けたか、それをよく考えてみるのだ。
メタ認知の話に近いと思う。激動の時代は、自分で舵を取る必要があったのだなと感じさせられる。まして今は情報過多の時代なので、なおのこと、自分自身を見つめる目が重要だ。昔は、それがこうやって親戚から教えてもらって、ぶれすぎないようになっていたのかもしれない。今はキャリアカウンセラーさんとかってことなのかな。
もしかすると、すでにこの時代に、そういう懸念があったから、この本は出ているのかもしれない。現代は、そこからさらに希薄化してるわけだ。
最後にもう一箇所。
世間には、他人の目に立派に見えるように、見えるようにと振る舞っている人が、ずいぶんある。そういう人は、自分がひとの目にどう映るかということを一番気にするようになって、本当の自分、ありのままの自分がどんなものかということを、つい、お留守にしてしまうものだ。
(中略)
君自身が心から感じたことや、しみじみと心を動かされたことを、くれぐれも大切にしなくてはいけない。それを忘れないようにして、その意味をよく考えてゆくようにしたまえ。
これらの箇所を見ただけでも、今の時代に合っているなあと感じさせられる。
これまでと、現在。そして、これからを結ぶための「これまで」の温かい思いを感じられる一冊だなあと思う。
自分が今ここにいる歴史性を考えてわくわくしたくなる。
一言で言えば「君たちはどう生きるか」って話ね。