いい天気だ!ハピペンです。お昼の眺望が良すぎた。
それは置いておいて。
本日は、初めて!やっと!「あるある会」に伺うことができました。
タイトルは「育つのは自分〜プロジェクトベースの国語学習から考える〜」
講師は千葉大学名誉教授の首藤久義先生
育つのは自分 ~プロジェクトベースの国語学習から考える~ 2018年10月28日(神奈川県) - こくちーずプロ(告知'sプロ)
後期、国語をもっと楽しませたい。こんな自分が受けもった児童に少しでも良い学びをという思いで這いつくばる気持ち。
あとは、やっと一目でも「あおせん」に会おう!!という決意(●´ー`●)
そして、行ってめっちゃ良かった!!
後期へのやる気が溢れた!
内容が楽しい!かつ、痛快!!
今年度一の話の内容だった。
先哲から聞く知恵は、こんなにも後世を生き生きさせるのかと驚いた!!
少しでも分かち合いと思い、振り返りを書く。
国語教育についてがメインと思いきや、教育全般、子どもとの関わり方や子どもへの眼差し全般についてインスパイアされました。
一人ひとりを大切にする
この「一人ひとりを大切にする」ということが、首藤先生の「育つのは自分」という教育論を現す言葉だと思う。そして、「一人ひとりを大切にする」という表現は、月並みであちこちで聞く言葉だが、今日の話を聞いて、その意味が豊かになった。
教師が、変えてよくしてあげた気になっていても、それは教師の価値観に沿った方向に変わったように見えるだけで、その内実は、その人間をダメにしている可能性のほうがはるかに高い。
だから私の教育論は、共育論。
そのほうが、その子が、本来もっている力が開く。
教育には、結局、自己教育。自分の、自分のための、自分による教育。
教師にできるのは、その邪魔をしないように、ほんの少し手助けすること。
その一つが、プロジェクト単元(プロジェクトベースの国語学習)
(レジュメより引用)
その子が本来もっている力が開く。このことを特別支援教育に携わる人たちも考えていると思う。
それをどうすれば実現できるかについてたくさん考えさせられた。
ポイントとなるのは「指導目標・活動目的」の違いである。
私はこう解釈することにした。
「指導目標」は、教師の願いである。
「活動目的」は、児童の願いである。
そして「学び」には、児童の願いがあればよい。
しかし、その児童の願いが適当であるためには、教師の緻密な準備がいる。
緻密といっても膨大なというよりは、一人ひとりの顔を浮かべて思いつくことで教材準備を行う。
では、どうやって「児童が願いをもつのか」。
これが課題として浮かんだが、これこそ、一人ひとりの顔を浮かべて調整していくほかない。
こちらも私の解釈だが、
- 内容(題材、コンテンツ)
- 活動(活動内容、方法)
- 目的(何のためにするのか)
などによって、動機を高めるといいのだと思う。
例を出すといくらか分かりやすいかもしれない。
「2年:『お手紙』」で考える
『お手紙』は、がまくんとかえるくんという二匹のカエルが登場する物語で、四場面構成。
単元のゴールとして教科書には「音読げきをしよう」とある。
「音読げきをしよう」を「内容」「活動」「目的」を調節することで「児童が願い」をもって、学ぶことができるかもしれない。
そのためにプロジェクト(単元)を構想する。
仮に「内容」「活動」「目的」
- 「内容」・・・お手紙
- 「活動」・・・音読げき
- 「目的」・・・登場人物の気持ちの変化を想像しながら読む(音読する・表現する)
と設定する。
ここでいう「目的」は「指導目標(教師の願い)」である。
これを特別強調したり、明かしたりせずに、児童は児童なりに願いをもって自分なりの学びに向かえることができるとよいと思う。
そのために「内容」と「活動」は変更し得ると考えた。
たとえば、
- 「内容」・・・「その子の好きな絵本」「がまくんとかえるくんの別の話」「自分たちが創作した第5場面」など
- 「活動」・・・「人形劇」「紙芝居」「劇」など
動機につなぐことが重要だと考えている。そのプロジェクトにのめり込むことで児童は学ぶ。
そのときに、児童なりに目的をもつことができれば良い。
その目的については、首藤先生が6種類挙げてくれていた。
- 作る・演じる
- 解明する
- 遊ぶ
- 翻作する
- 味わう
- 上達する
子どもなりにこれらのどれかを「活動目的」として、プロジェクトができると良い。
しかし、活動が個々にバラバラになり収集がつかない。従来の班などの活動では機能しないだろう。などいろいろな懸念が浮かんだ。
それに関しては、プロジェクトに応じて、動機に応じて、グルーピングしてしまえばいいと思った。
首藤先生からも、大村はま先生の実践をもとにしながら、習熟度別のグループ学習という考え方もあることが示された。
評価
こうして、単元を進めてみようかなあと思い始めるころ、だんだんと「評価」について気になり出した。
ちなみに評価については主に「観察」とのこと。
あとは、
- ポートフォリオ
- 録音
- 振り返り
- 成果物
そして、一番は、教室を見てもらうことだという。
非認知能力を育てていることに合意を得て、責任を示すことが当たり前になるには、まだまだ時間を要するように思う。そのため、業者テストによるアリバイづくりもいるだろう。その辺りの立ち回りにもヒントをくださった。
あと、評価は、ハイテックハイ(Most Likely to Succeed の作品紹介と自主上映会の様子 — Future Edu Tokyoの映画に出てくる学校)にあったような「語り」も重要になってくると思う。
自分が何を学び、何が変わったか自覚し、言語化できるかどうか。
リフレクティブな学びにおける、自己内対話の表出がこの先求められるのだと考えている。
悩んだこと
悩みは
- その見えにくい方向性を調整するための相談相手がいないこと
- 説明責任(自分が変容を見取る器量がないこと)
ここについては無理なく背負いすぎず、できる範囲で今の環境に生かせる部分を取り入れていくってことであまり気にしないでおこうと思う。
自分は何のプロジェクトをしているのだろう?
これだけ、子どもたちについてあれやこれやと試行錯誤し、「子どもが学ぶこと」に働きかけ(首藤先生でいうサポートし)ようとしながらも。
それをする「意味・価値」について、借り物の言葉ではなく、自分の言葉で語れるかが気になった。
結局、受け売りで(まあ、それも悪ってわけではないのだけれど)、プロジェクトいいらしいよ。
へーやったーじゃあそれやるわ。では苦しい。
大事なことは「自分の心で感じて、自分の頭で考える」ことだ(ただし、これと自己責任のバランスについて、義務教育段階で教師はどこまで、どう手を出すのかはもう一度考え直したい)。ただ「育つのは自分」は、最優先で意識できるようにしたい。
私はどの文脈の上にいて、何をなそうとしているのか。「◯◯だから、そのために子どもの前に立っているのだ」という自覚を改めてもちたい(また言語化しよう)。
首藤先生の姿を見て、要は、まず自分が自分について語って見せられるようになりたいようなあと思うのである。
会の冒頭の首藤先生の小さい頃から現在へのつながりの話にも影響を受けた。
そのために
「私は」を大切にして言葉を発していこう。
言葉を借りすぎてしまっているかもしれない。
だから「私は」を使って会話をすることを大切にしよう(言葉に責任をもつ)。
君たちは“なぜ”生きるのか?
「君たちはどう生きるか」
この本の題名のパロディです。
「好きなことを仕事に」ということをあちらこちらで聞く。自分は何がしたいのか?どう生きるのか?を考えると、「好き・嫌い」について考える。
じゃあ、それやろう。じゃあ、あれやろう。となったときに、自分以外の人にどう役立つかを考えきれていないような自分に気がついた。
それは「自分がなぜ生きるのか」への「語り」が足りないのだと思う。
「自分がなぜ生きるのか」を仮固定でいいので語りたい。
「君たちは“なぜ”生きるか」も発売してくれてもいいと思う。内容は「君たちはどう生きるか」と全く同じでもいいかもしれないので。
200冊のリサーチ
首藤先生は、国語科教育・言語がご専門の先生。言葉へのこだわりが温かくも鋭い。
「通じればよし」という表現からも伝わってくるのだが、重要なのは「意味がどのように共有されるか」なのだと思う。
完全一致は夢のまた夢だとしても、言語というよりもニュアンスというか、実際の型のようなものがうまく伝達されればよい。
上でも「語り」といったが、大切なのは「何がどう伝わるか」だ(自分の表現はズタズタだと分かっています)。
その「通じればよし」の首藤先生から何度も出たのが「これも200冊くらい読んで」という表現だった。「通じればよし」ということを確かなものにするための最低冊数かと思いました。
そこまですると、そのことについて「知った」「分かった」「伝えられる」「通じる」ということになるのだと思う。
そのリサーチをもとにした「事柄の歴史性」「ここまでのつながり」「本音と建前」の全く隙のない話の内容に憧れた。
そして、終盤、子どもに教えたくなるのを、辛抱強く信じて見守る際に「結局、最後には根性もいる」と言われた。私はとてもチャーミングだと思った。最後には論文とか知識とか肩書きとか年齢とか能力とかではなく、目の前の子どもと一対一で向き合う。その目の前の子と自分との間にある目に見えないやり取り。歩み寄り、立ち会い、共存。その子が目の前で何かを感じて、何かを考えて、何かをしている。それでいいじゃないか。というその子へのリスペクトを実現するために、自分と戦っている姿にうっとりさせられた。
ほんの少しの時間で、あっという間だったのですが、こうして次の日になっても心に残るようなら充実した時間でした。首藤先生との対話は自分の中でもう少し続くと思います。
この度は、共に学ばせていただきありがとうございました。
読みたい本
それこそ、リサーチがいる。というわけで。
「一人ひとりを大切にする」について
ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方
- 作者: キャロル・アントムリンソン,Carol Ann Tomlinson,山崎敬人,山元隆春,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
評価について
- 作者: C.A.トムリンソン,T.R.ムーン,山元隆春,山崎敬人,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2018/09/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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テストだけでは測れない!―人を伸ばす「評価」とは (生活人新書)
- 作者: 吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2006/03
- メディア: 新書
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