2016年5月に伊勢志摩サミット(主要国首脳会合)に関連し、G7倉敷教育大臣会合を開催されました。
※G7(Grou of Seven):日本・アメリカ・カナダ・ドイツ・フランス・イギリス・イタリアの7つの先進国のことです。
このときに、成果文書として出されたものが「倉敷宣言」です。
会合では、「教育の課題について深く議論し、今後の教育の在り方の多くの側面について合意を得るに至った」と書かれています。
すごっ!
G7です。かっこいい。
"左から、UNESCO、ドイツ、カナダ(州)、フランス、イタリア、日本、イギリス、カナダ(連邦)、アメリカ、EU、OECDの各代表"
(写真は文科省からです。NGの場合どなたか教えてください。)
特に「倉敷宣言」の中で「教育の果たす新しい役割」の「共通価値の尊重」で示されている内容が良いと思いました。
「課題」→「教育の果たす新しい役割」と「共通価値」の順で紹介していきます。
「課題」として示されていること
我々は、貧困、拡大する収入格差、紛争、テロ、難民・移民の大量流入、環境・気候変動問題などの地球規模課題に直面している。
いろいろなキーワードが世界の問題としてありますね。SDGsとも関係しそうです。
私たちはこれ以上、収入格差や対立の根深さを放置することは許されない。国際社会の平和を守り、持続可能な発展を促進するためにも、倫理を尊び、他者を理解し、(特に社会的少人数者の)人権に配慮し、主体的に行動するには、ひとえに教育の力に拠らなければならないことは自明の理である。
「ひとえに教育の力に拠らねばならないこと」と言い切っているのがとっても素敵ですよね。
「教育の果たす新しい役割」として示されていること
教育の果たすべき新たな役割として、
①「社会的包摂」、「共通価値の尊重」の促進、
②新しい時代に 求められる資質・能力の育成、
③新たな役割を果たすための国際協働の更なる推進で一致。
一致なんです。すごいです。
そのうちの①の中で「共通価値の尊重」が書かれています。
今回私が一番伝えたかったことです。
「共通価値の尊重」
特に、人間の尊厳を損なうあらゆる暴力、差別を阻止し、共生社会を実現するため、共通価値 (生命の尊重、自由、寛容、民主主義、多元的共存、人権の尊重等)に基づいて、教育を通じたシチズンシップの育成を約束。教育によって文化間の対話、相互理解の促進、道徳心の醸成の必要性を強調。
繰り返します。「共通価値」は、
- 生命の尊重
- 自由
- 寛容
- 民主主義
- 多元的共存
- 人権の尊重
これらの、それぞれについて、意見や考えを言えるといいですよね。自分言葉で説明できるって大事です。
ただ、学校では、これらを教育することを果たせるのかちょっと疑問です。
この会合は、あくまで「教育」の話ですよね。
学校だけでなく「生涯教育」的な話も含まれているのでしょう。
そうなるとやっぱり、大人が問われているのだろうと感じます。
「共通価値」は、土井隆義さんの「個性を煽られる」「キャラ化」「つながりを煽られる」を読んで思っていたことへの、ヒントになりました。
「個性を煽られる」等を読んで、"多様化していくなかで、どんなに多様化しても変わらない不易・普遍の人間の真理に近いような、真実的な「価値感」が、大人たちの間で統一されていないから、違和感のある状態が起きるのではないか"
と感じました。
そもそもそんなの統一できるのかと思うでしょうけど。
絶対にこれが真理って押し付けるわけではなくて、「私たちはこう思うよ」っていう「ポジション」のいくらかの統一と言ったらいいでしょうか。
そのポジションを大切にするということが通らなければ「人権宣言」や「条約」は通らないってことになると思います。
そうなると、実は、その「統一できるのか」って感覚こそが、もしかしたら違和感を生む正体ってことです。
「オレはちがう」「お前は違う」「アイツは違う」「拒否」等々。
結局「自然権」をちゃんと意識しようよってくらいの話かな、とも思いました(今)。
※自然権:人間が、自然状態(政府ができる以前の状態、法律が制定される以前の状態)の段階より、保持している生命・自由・財産・健康に関する不可譲の権利。(wikipediaより)
以上。
あとは、すっごい余談なのですが、このG7って集まり。
この集まりは、つまり、ルート(C)に辿り着く「調和」のための布石なわけだ!って……そんなキザなことを思いついた日。
【リンク】
G7倉敷教育大臣会合 G7 Kurashiki Education Ministers’ Meeting in Okayama:文部科学省
「倉敷宣言の骨子」のURL
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/06/17/1370953_1_1.pdf
「倉敷宣言の原文・日本語仮訳」のURL
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/06/17/1370953_2_3.pdf