引用したかった言葉を見つけた「ハピペン」です。
この辺の記事の続き。
この3つの記事で伝えたかったことは、自分がインクルーシブについて考えてきたこと。
- 「インクルーシブ教育システムの構築は『フルインクルーシブ』に向かっているプロセスだろう」ということ。
- フルインクルーシブには「『場』と『学びの内容』の視点が必要」ということ。です。
- 教師は「子ども同士を結びつけること」が重要
今回は、3.教師は「子ども同士をむすびつけること」が重要ということについての本の引用です。
こちらの本。
インクルーシブ教育ってどんな教育? (インクルーシブ発想の教育シリーズ)
- 作者: 青山新吾,赤坂真二,上條晴夫,川合紀宗,佐藤晋治,西川純,野口晃菜,涌井恵
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2016/04/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本面白くて分かりやすいです。
平成14年度に発表された、通常学級における特別な支援を必要とする児童生徒の実態調査にといて、小・中学校の通常級には6.3%の割合で、特別な支援を必要とする児童生徒が存在することが明らかになったのです。
P7
これは、もう散々聞きましたよね。
不思議なようですが、それまで日本の学校教育においては、通常の学級には、特別な支援を必要とする児童生徒(障害のある児童生徒)は存在しないことになっていました。
P7
ここが気になりました。
だとして。だとして、その考え方が共通認識であったときの、先生にとってできないと思われる児童は、どう見られていたのだろう、と。
「"その子が"できない」という文脈があったのではないか、とネガティブな気持ちになります。
まだインクルーシブや特別支援の歴史としては、そう考えている時期があったとすれば、その時期のマインドセットの時間の方が長いと思うのです。
当然に、そう考えがちな先生もいくらでもいるのだろうなと。型やパターンや癖はなかなか意識をしても、オートでそうなってしまい変わりにくい部分があると思うのです。
先程、インクルーシブ教育システムにおけるキーワードとして「共に学ぶ」を指摘しました。これは、言い換えれば「子どもと子どもの関係を構築する」ことでしょう。子ども同士の関係づくりを基盤とした学びと言えます。
P10
「子どもと子どもの関係を構築する」ために、支援を必要とする子の交流について改善するための視点も挙げられています。
P11
- 周囲とのコミュニケーション支援の不足
- 障害のある子どもの周囲への支援の必要性
- 共に生活することによって生じるナチュラルな関係
ここでグサッとくる一文。
特別支援教育の弱点は、子ども同士の関係の弱さ、すなわち子ども同士のつながる力を育てることの弱さなのだと考えられる
P12
「子ども同士のつながる力を育てることの弱さ」ここを意識できる学校だったら好きだ。
特別支援学級在籍の子を、たとえば当番表からなくしてしまったとする。そうしたフィクションの集団でつながる力は、果たして本物のつながる力か?と問いたくなる。年齢を重ねて、自覚的選択によって集団ができていくのと、公の発達の最中に多様な関わりをもつ機会を調整してしまっていいのかが気になる。
ローカルな、価値観が似通った集団で自ら集まることと、はなからそういうシステムにしていまうのとは違うように思う。
公が何を示すかの重さを考えたい。
公は、ある人間とある人間を分けることが基本的なスタンスなのだと、無意識に刷り込まれていくことが、私は嫌だ。排除前提、誰も取り残すこと前提という感じがする。
その感覚は、自分なりにカスタマイズされ、自分の価値観に合わない人に当てはめる態度が仕上がっていきそう。「あの人は合わない。さようなら。」の癖。
インクルーシブ発想とは「つなぐ」「つながる」ことを指向していることを指しています。
P13
この考えが好き。
人は人々の支えによって生きられるってことを考えたい。
空気が読めるとか読めないでなく、人を尊重する態度を育てたいなあとも思う。
失敗、間違い。特にタイミングのミス、発想のミスなんてどこでも起こり得ると思うのだ。権力で勝とうとしない。
「へえ。今君はそう思ったんだね。それはそれで素晴らしい!けど、今はその話じゃななくてこっちなんだ。これに関するアイデアをもう一度考えてみてくれるかい?」みたいな態度でいたい。
ハピペン的には、コンピテンシーは加速度的変化してしまって、もう公は追いつけないんじゃないかって思う。上から降りてくるころには、社会が変わってしまっている。
不変なものとして、一つ、AIにはない人間関係を学べる良さが学校には残っていると思う。
学校の【人間関係のテーマパーク】化こそ、唯一胸を張って生き残らせられるコンテンツじゃないだろうか。
いろいろな人間関係を味わい尽くせる。学校がそういう場であったら、結果、学びは促進すると思う。
いろいろな軋轢・葛藤・情動を不特定多数が集まる公で味わったらいいさ!と思う。
人を知って、その人々のためのテクノロジーやサイエンス、アートを活かしていくのだから、人間に関する原体験を存分に蓄えた方がいいと思う。
それに、どんな人間関係にも学びがある。そう思えたら、学校はもう少し居心地がいいんじゃないだろうか。"こうでなければならない"を言い過ぎた結果、苦しい状況の自分を受け入れられなくて、崩れ落ちてしまっているだけかもしれない。
そんな君もいい。そんな君でもいい。それでもここにいていい。そういう学級経営をしたい。
みんなでフォローするから大丈夫。
いることが最善で、いることこそ最大で、いることに最優先の意味づけを。
学力向上もいるだろうけどね。でも、ハピペンは「つながり」よりにBetっ。
今は、こんな本も出ているのかあ。
学級担任が進める特別支援教育の知識と実際: 集団の教育力を生かしたインクルーシブ教育の実現
- 作者: 河村茂雄
- 出版社/メーカー: 図書文化社
- 発売日: 2017/12/25
- メディア: 単行本
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これらは、来年度中に読めたら読みたいなあ。