かならず幸せになれるいきもの

おしゃべりによる出現する未来から学ぶ

麹町中学校の校内研修(第4回)

麹町中学校の研修に参加させていただきました。ちなみに参加したことがあるのは第3回、第4回のみです。第3回の学びはアップしておりません。


さて、わくわくする学びを持ち帰り、刺激を受け学級に生かしたいとドーパミンが出てやる気溢れる会でした。機会をくださって感謝しております。翌朝改めて書いた感想等々(相変わらず長いわ!)

 

麹町中学校の校内研修(第4回)について

【研修を受けたあとの変化】

自分のやっていることをもっと俯瞰して見つめたいと思いました。
木村先生や工藤先生のように自分のしていることを、多くの人の前で伝えられるように言語化したいと思いました。そのためには「記録を取って俯瞰すること」「その記録した事柄に対する成果指標(あくまで実現したいことへの目安の数値化)」が大切だと思いました。

 

【研修内容についてのまとめ】

私は、今回の研修を一言で言うと「人間として生きることの捉え直しについて」だと捉えました。どうしてかというと「人間特有に発達させた前頭前野などの脳を使う大切さについて」と「その脳を育むための集団における営みについて」がたくさん話されていたからです。
そして、その「人間として生きること」を育むことができる場所こそ、教育現場(現在のメインとなる場所は学校)です。そのそもそもの学校とは何なのかを考えて行き着いたところが「人間として生きることの捉え直し」と言えるような今回の研修だったのだと感じました。

中身は「自律する力」と「多様性を認める力」を育むには「メタ認知」が重要である。という高度な話(すぎる話)で、頭がくらくらでした。
しかし「自律」と「多様性」という目に見えない力を「大空小実践例」と「脳神経科学学術的な知識」で紐解いていき、麹町中や大空小の「指導」や「環境」の在り方は、やはり子どもにとって良い影響を与えうる、という大いに納得感の得られる内容でした。

 

キーワードは、上位目標、文化づくり、目指す子どもの姿、社会的背景(未来志向)、メタ認知、ストレス

 

【実際の流れ】

まず「どのような人間を育てるか」についての大きな道しるべとして、麹町中と大空小の目指すシンボリックな理念が示されました。

  • 麹町中:世の中ってまんざらでもない。大人って結構すてきだ。
  • 大空小:すべての子どもの学習権を保障する学校をつくる。

この二つの「目指す子どもの姿」の共通点が「自律する」と「多様性を認める」でリンクします。そして、この二つの力を身につけていく・学習していくために必要なのが「メタ認知」ではないかというところで、ようやく工藤先生、木村先生、青砥さん(About | DAncing Einstein(ダンシング・アインシュタイン) – 未来の教育と学習をデザインする)の3人が集まる研修のストーリーが見えてきました。

 

次に「指導」と「環境」に焦点が当たり、その「目指す子どもの姿」へ向かっていくために、どのような在り方が望ましいかが検証されていました。
「指導」と「環境」は、学校を構成する要素だと思います。そして、その構成要素は、上位目標から文化のような形で現れてくると思いました。

この辺りで今回どこを焦点化して考えるべきなのか混乱してきたのですが、図にしてみました。

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【上位目標】【文化づくり】【「指導」「環境」】とあり、この研修で考えているのは右下の【「指導」「環境」】についてだったかと思います。

しかし【上位目標】【文化づくり】の観点も意識していないと迷子になるなあと勝手に思っています。

 

以下説明。

 

【上位目標】

①未来志向・・・子どもたちが未来に置いていかれずに、未来に対してどうイニシアチブやアドバンテージを取っていくか、なぜ共生社会を目指すのかなど
②社会課題・・・学校がどんな社会をつくっていこうとするか
③実態に応じる・・・①②が優先されて型にはめるということではなく、実態に応じて必要な在り方は変わる
④コンプライアンス・・・それらは、あくまで国や社会が目指す方向とも合致する
上位目標はこれらからつくられていると考えた。麹町中や大空小の上位目標がこの4つのどれにも当てはまるから魅力的でタフなのだと思います。

印象ですが

  • 麹町中は自分をつくる力から、自分たちをつくっていく力へ(自律→多様性)実際は同時的
  • 大空小は自分たちをつくっていく力から、自分をつくる力へ(多様性→自律)実際は同時的

だと捉えられると思いました。

 

【文化づくり】

上位目標を達成するために、行動に落とすためのキーワードが様々に用意されています。とても企業的というか事業的というか、社内の人材育成のようなイメージが浮かびます。その学校で学ぶことを通して、その学校の目標を体現する(一員としての能力が身についた)人になっていくということです(至極当たり前ですが)。

麹町中で言えば、
①様々な場面で言葉や技能を使いこなす
②信頼できる知識や情報を収集し、有効に活用する
③感情をコントロールする
④見通しをもって計画的に行動する
⑤ルールを踏まえて建設的に主張する
⑥他者の立場で物事を考える
⑦目標を達成するために他者と協働する
⑧意見の対立や理解の相違を解決する

大空小で言えば
「自分がされていやなことは人にしない、言わない」
約束を破ったら「やり直す」

そして、この「文化」をつくるために、実際に子どもたちにも行動や活動をさせていかなくてはならない。
それに必要なのが「指導」と「環境」で、今回の話になっていくのだと理解しました。

 

【「指導」と「環境」について】

ここが今回のメインだったかと思います。
学校を構成する「指導」は「人材」を指し、「環境」は「カリキュラム(教材)」を指すと考えました。
学校は、「人材」と「カリキュラム」を土台・前提として、子どもたちはパフォーマンスを発揮しつつ、成長することを目指す。大人は成長してもらうことを目指す。
そのパフォーマンスは何のパフォーマンスなの?成長って何の成長なの?というのがズバリ「脳」です。

「脳」のパフォーマンスを上げて、学習効果を高めて成長させるためには、「ストレス」がキーワードでした。
「ストレス」がないことも問題だが、過剰であることも問題であり、そうすると「考えて選択する脳部位」が力を発揮できなくなるということでした。

ストレス正常=心的安全状態→思い描いた行動を誘導する確率が高い
ストレス過剰=心的危険状態→思い描いた行動を誘導する確率が低い

そして、脳は使わないと育たないので、いかにして使うか。考えてさせ脳に学習させるかが重要です。

大空小での指導を参考に「トラブル」への対処について、脳神経科学を応用した解説がありました。

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頭ごなしの指導ではなく「問い」があり、考えさせて「メタ認知」を促し、「葛藤」を経て、うまく切り抜けられなそうなときには「選択肢」を示して「メタ認知」の手助けをする、そして次の「行動」ができるようにする。すると「トラブル」は「ポジティブ」な成長のチャンスと捉えられるようになる。この自分で考えて自分をよりよくしていくサイクルこそ、自律のための学習であり、多様性を認めるための多角的な視点から考える力にもつながる。脳科学から見ても、大空小における指導は、子どもの成長に理にかなっているということでした。

 

【感想】

私も今回の研修で多くの点と点がより結びつきいろいろ腑に落ちました。「人のフリ見て我がフリ直せ」だと、「人」が悪い見本みたいになってしまいますが、そういうことではなく、言い直すと「人との違いを見て、我が在り方を正せ」みたいな感じに学んでいくことが、今とこれからの時代に必要な学校現場なのだろうなと思いました。

そして「多様性」と「自律」は、両輪だと思いました。どちらがなくても、多様性は認められないし、自律も浅いものになると考えます。つまり「多様性のないところに自律はない」と言い切ってしまってもいいかもしれません。それは、自律ではなくただ、環境に管理され守られているにすぎない他律的な自己なのだと。

どうすれば「多様性を認め合えるのか」「自律する力を身につけられるのか」は、「合意形成」する時間、民主主義的な対話を実現できる環境があればできるかもしれないと思いました。しかし、上手にファシリテーションし、上手に個性をフォローし、かつ未来のニーズにも耐性があり、実社会との乖離が少ない状態を生み出せる教師は目指すべきですが、簡単ではないと思いました。

それは、たまに工藤校長先生のおっしゃる、習ったことがないから出来ないし、自分ができないから評価できないから育めないということに近いです。

ただ、これを教師が目指す姿を見ながら子どもが学校生活を送れることは、価値があると思い魅力を感じました。

ディスカッションの中で、将来自動運転ができるようになると、車での移動中が仕事場や学習の場になり得るという話が出ました。そうすると、週の半分は都心、半分nは地方という生き方も生まれるかもしれない。それは、子どもがいた場合、子どもそれについていくことになり、学び方の多様性は高まっていくと言っていました。

私は、義務教育の現場はますます「人間関係のテーマパーク化」をしていくだろうと思いました。同年代、同じ向き、箱という環境はガラパゴス的なアトラクションになってしまうかもしれませんが、そこでしか生み出せない葛藤の価値にフォーカスできると、学校の醍醐味は失われず、得られるものも大きいと思っています。大空小の在り方が人として生きることを学ぶ学校としてのイメージに近いです。
それが正解といったことでははなく、在り方として本当に参考になり、未来にのこるし残したい学校になっていくだろうなと思いました。流行りの無形文化遺産のような感じです。

そんなわけでぐだぐだと書いてしまったのですが。目を通していただいた方。ありがとうございます。捉え違いや言葉の選択で気に触るところがあったら申し訳ありません。

そして、麹町中の先生方。いつも快く迎え入れてくださって幸せな気持ちです。たくさんの人のかけがえのない時間が集まって凝縮されている研修に本当にたくさんのエネルギーいただいています。第4回目にも伺うことができて幸運でした。ありがとうございました!