これの続編です。
学習指導要領に書かれている「目標」と「内容」の構成についてまとめる。
目標と内容の書かれ方の構成
「目標」は見やすく、どの教科も同じような構成で書かれている。
「教科の目標」も「各学年の目標」も()が表すものは同じである。
(1)知識・技能
(2)思考力・判断力・表現力
(3)主体的に学習に取り組む態度
「内容」の書き方が、各教科によって変わるため混乱する。
以下、各教科について、目標や内容の見方について書いていく。
国語
国語は、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」に分かれていて、それぞれ活動事項ごとに書かれている。
- 「知識・技能」は、「言葉の特徴や使い方」「情報の扱い方」「我が国の言語文化」の三つに分けて書かれている。
- 「思考力・判断力・表現力」は、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の領域ごとに、指導事項と言語活動例に分けて書かれている。
- 「主体的に学習に取り組む態度」は、教科と学年の目標が示されているのみで、教科書会社の評価計画資料(https://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/s_kokugo/keikaku/02s_k_nenkei1_03.pdf)を参考にしたり、教師同士で検討したりして、見取るべき妥当な態度(児童の姿)を考えていく必要がある。
以下の情報を何に使うかによって必要か必要でないかが変わってくるが、大抵の人は、「解説」の巻末にある「系統表」の方が有用かもしれない。
以下の内容は、「学習指導要領解説の内容の構成」に書かれていることを書き出しただけである。
目標のところには、目標の一覧があるし
内容の構成のところにも一覧がある
〔知識・理解〕
〔思考力・判断力・表現力〕
話すこと・聞くこと
書くこと
読むこと
というわけで、ここから下は書き出したバージョン。
「学習指導要領」の「第1節国語科、第2各学年の目標及び内容、2内容」より。
(第1学年及び第2学年)
1 目標
(略)
2 内容
(以下、下線は構成について書く)
〔知識・技能〕
(1)言葉の特徴や使い方
ア 言葉の働き
イ 話し言葉(発音発声など)
ウ 書き言葉(平仮名など)
エ 漢字
オ 語彙
カ 文や文章(文法)
キ 言葉遣い
ク 音読
(第5・6年に「ク:比喩などの表現の工夫、ケ:音読」が加わる)
(2)情報の扱い方
ア 情報と情報との関係
(第3~6年に「イ:情報の整理」が加わる)
(3)我が国の言語文化
ア 伝統的な言語文化(昔話や神話・伝承)
イ 言葉の由来や変化(言葉あそび)
ウ 書写
(ア)姿勢や筆記具の持ち方
(イ)点画、形、筆順
(ウ)点画の接し方や交わり方、長短や方向
エ 読書
(第3・4年は、「ア:短歌や俳句、イ:ことわざや慣用句や故事成語、ウ:へんやつくり、エ:書写に関する事項・毛筆について、オ:読書」)
(第5・6年は、「ア:古文や漢文、イ:古典、ウ:語句や文字の由来、エ:書写、オ:読書)
〔思考力・判断力・表現力〕
A 話すこと・聞くこと
(1)話すこと・聞くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する
ア <話すこと・聞くこと・話し合うこと>話題の設定、情報の収集、内容の検討(話題を決める)
イ <話すこと>構成の検討、考えの形成(伝え方の順序・構成)
ウ <話すこと>表現、共有(発声)
エ <聞くこと>構造と内容の把握、精査・解釈、考えの形成、共有(聞き方)
オ <話し合うこと>話し合いの進め方の検討、考えの形成、共有(反応・話し合い方)
※<>は領域、__は構成、()は低学年の内容をハピペンなりに表したもの
(2)(1)に示す事項については、例えば、次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 話したり聞いたりする活動
イ 少人数での話し合う活動
(第3・4年は、「ア」話したり聞いたりする、「イ」質問や発表、「ウ」話し合う、となる)
(第5・6年は、「ア」意見や提案を話したり聞いたり、「イ」インタビューや発表、「ウ」それぞれの立場で話し合う、となる)
B 書くこと
(1)書くことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する
ア 題材の設定、情報の収集、内容の検討(書くことを見付ける)
イ 構成の検討(書き方の順序・構成)
ウ 考えの形成、記述(書き表し方)
エ 推敲
オ 共有(反応・よさ見付け)
(第5・6年は、「ウが、ウ:詳しく区別して書く、エ:引用や図表を用いて書く」の二つに分かれ、「オ:推敲、カ:共有」になる)
※__は構成、()は低学年の内容をハピペンなりに表したもの
(2)(1)に示す事項については、例えば、次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 見聞きしたことを書く
イ 思ったことや伝えたいことを書く(日記、手紙)
ウ 感じたことや想像したことを書く(詩、物語)
(第5・6年になると、「事象を説明したり意見を述べたりするなど、考えたことや伝えたいことを書く、短歌や俳句をつくる、事実や経験をもとに自分にとっての意味を書く」などが入ってくる)
C 読むこと
(1)読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する
ア 構造と内容の把握(内容の大体を捉えること、時間や事柄の順序)
イ 構造と内容の把握(内容の大体を捉えること、場面の様子や登場人物の行動)
ウ 精査・解釈(重要な語や文を選び出す)
エ 精査・解釈(想像する、登場人物の行動)
オ 考えの形成(感想をもつ、自分の体験と結び付けて)
カ 共有(感じたことや分かったこと)
※__は構成、()は低学年の内容をハピペンなりに表したもの
(2)(1)に示す事項については、例えば、次のような言語活動を通して指導するものとする。
ア 分かったことや考えたことを述べる
イ 内容や感想などを伝え合ったり、演じたりする
ウ 図書館の利用、分かったことなどの説明
(第5・6年になると、「説明や解説などの文章を比較して読む、詩や物語や伝記などを読んで内容をまとめたり自分の生き方などについて考えたりしたことを伝え合う、複数の本や新聞などを活用して調べたり考えたりしたことを報告する」が入ってくる)
当前ながら、詳しくは、学習指導要領(https://www.mext.go.jp/content/1413522_001.pdf)を見ていただいた方がよいです。
途中で紹介した評価計画の参考:年間指導計画・評価計画資料 | 小学校 国語 | 光村図書出版
算数
算数は、学習指導要領算数科の解説から画像を貼っておく。
教科の目標
学年ごとの目標
「第1〜3学年」
「第4〜6学年」
次は内容
第1〜3学年の内容の系統表
数学的活動の一覧表
ここから下は、「学習指導要領」の「第3節算数科、第2各学年の目標及び内容、2内容」から抜き書きしたもの。
ちなみに、算数科の学習指導要領解説では「各学年の目標と内容」はあっさりめに書かれている。
概念の詳しい解説はもっと前の方にある「内容の構成」の方に領域ごとにまとめて書かれている(整数とは、分数とは、など)。
1 目標
(略)
2 内容
- A 数の計算
- A(1)数の構成と表し方
- (1)数の構成と表し方に関わる数学的活動を通して、次の事項を身に付けることができるようにする。
- ア 次のような知識及び技能を身に付けること
- (ア)~(ク)に、学年に応じた指導事項
- イ 次のような思考力・判断力・表現力等を身に付けること
- (ア)数のまとまりに着目し、数の大きさの比べ方や数え方を考え、それらを日常生活に生かすこと
A(2)加法、減法
(以下、B図形、C測定、Dデータの活用、数学的活動の項目につづく)
算数の「内容」の構成は、また少し独特なところがある。
- アルファベットで領域
- アルファベットと(数字)で領域の中の項目
- (数字)で項目の概要
- 「ア」で知識
- (カタカナ)で指導事項の具体
- 「イ」で思考力・判断力・表現力
- (カタカナ)で指導事項の具体
7つの階層になっている。一つの領域に二つ目からの階層が繰り返されて書かれる。
言葉で説明するとややこしいので、見てもらったほうが早いと思う。
主体的に学習に取り組む態度について(再掲)
その他の教科についての態度が、実際の児童の姿でいうとどのような姿なのかは、各々検討が必要である。
学習指導要領の目標に書かれている文言と国研の資料(指導資料・事例集:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research)を参考にしながら、情報収集や教師同士での対話が必要だと思う。そこから、その態度の妥当性を担保するほかないだろう。
また、実際の規準や基準を言語化する際には、国研の資料にも目を通した方が、共通理解できる相応しい言葉で評価を設定できるはずである。
評価方法について(再掲)
再び、ハンドブックを参考に。
「知識・技能」
「知識・ 技能」の評価の考え方は,従前の評価の観点である「知識・ 理解J,「技能」においても重視してきたところです。 具体的な評価方法としては,例えばペーパーテス卜において,事実的な知識の習得を問う問題と,知識の概念的な理解を問う問題とのバランスに配慮するなどの工夫改善を図る等が考えられます。また,児童生徒が文章による説明をしたり,各教科等の内容の特質に応じて,観察 ・ 実験をしたり,式やグラフで表現したりするなど実際に知識や技能を用いる場面を設けるなど,多様な方法を適切に取り入れていくこと等も考えられます。
「思考力・判断力・表現力」
「思考・ 判断 ・ 表現」の評価の考え方は,従前の評価の観点である「思考・ 判断 ・ 表現」においても重視してきたところです。具体的な評価方法としては, ペー パー テストのみならず,論述やレポー 卜の作成,発表,グルー プや学級における話合い,作品の制作や表現等の多様な活動を取り入れたり,それらを集めたポー 卜フオリオを活用したりするなど評価方法を工夫することが考えられます。
「 主体的に学習に取り組む態度」
具体的な評価方法としては,ノー トやレポー ト等における記述,授業中の発言,教師による行動観察や,児童生徒による自己評価や相互評価等の状況を教師が評価を行う際に考慮する材料の一つとして用いることなどが考えられます。その際,各教科等の特質に応じて,児童生徒の発達の段階や一人一人の個性を十分に考慮しながら,「知識・ 技能」や「思考・ 判断 ・ 表現」の観点の状況を踏まえた上で,評価を行う必要があります。
参考:「学習評価の在り方ハンドブック(小・中学校編)」https://www.nier.go.jp/kaihatsu/pdf/gakushuhyouka_R010613-01.pdfP8より
以上